ヘッジ・ファンドがもたらすリスク

ヘッジ・ファンドがもたらすリスク

ヘッジ・ファンドは 2003 年頃からの世界的な低金利を背景に増え続け、複数のヘッジ・ファンドから構成される「ファンド・オブ・ファンズ」を経由して、個人の富裕層だけでなく機関投資家・年金基金・大学の資金も流入しています。

国際決済銀行 Bank for International Settlements (BIS) によると、2007 年 5 月時点の世界のヘッジ・ファンドは 9000 本以上、総資産は約 1 兆 6000 億ドルですが、世界全体の運用資産総額の 1 % にも満ちません。

しかし、国内大手信託銀行が日本株を運用する場合、大部分を TOPIX に連動させて年間回転率も低いのに対し、ヘッジ・ファンドはレバレッジを掛けて年間回転率も高いため、市場への影響が大きくなります(下表参照)。

現在、「ニューヨーク市場やロンドン市場では約 5 割、東京市場では約 3 割の株式売買高がヘッジ・ファンドによるもの」と言われています。

国内大手信託銀行と中堅ヘッジ・ファンドの比較
  国内大手信託銀行 中堅ヘッジ・ファンド
運用資産 5 兆円 0.01 兆円
レバレッジ - 5 倍
年間回転率 0.3 回 50 回
年間売買金額
(運用資産 * レバレッジ * 年間回転率)
1.5 兆円 2.5 兆円

更に、ヘッジ・ファンドはコモディティ・トレーディング・アドバイザー Commodity Trading Adviser (CTA) という手法を用います。

CTA はマネージド・フューチャーズ Managed Futures とも呼ばれるように、上場されている金融先物・商品先物市場に限定した投資で、以下の 3 つに分類できます。

  • システム型
    • コンピュータのプログラムによる自動売買
  • 自由裁量型
    • 人間の判断による売買
  • 混合型

CTA の約 7 割はシステム型で、世界の市場を 24 時間監視して 1/1000 秒単位の売買を繰返すため、各市場に大きな負荷を与えています。

CTA の種類別構成比

ヘッジ・ファンドの膨張により、2 つのリスクが懸念されています。

  • 増幅リスク
    • 流動性の低い市場で大きなポジションが構築されたり解消されたりするときに、価格が急変動するリスク
  • 波及リスク
    • 出資者へ資金を返還するために複数の市場で同時に資産を売却した場合、相関が高くない市場間でも価格変動が起きるリスク